今月、トヨタがYoutubeにこの動画をアップロードした。
サムネからもめちゃくちゃそそられたし、実際に観ても期待通りに良かった。
言うまでもなく映画『私をスキーに連れてって』のオマージュ満載、
当時の世界観にヤリスを連れてった感じ。
『私をスキーに連れてって』のストーリーについては、まあラブコメフィクションなので荒唐無稽なところも含めてほほえましく観るくらいがちょうど良い。
トヨタの動画は、映画のキラキラした部分をうまく抽出して現代のクルマとマッチさせたところが秀逸だと思った。
私は平成生まれで、映画が公開されたバブル期どころか昭和の時代を知らない。
だからこそ憧れがある。
そして、昭和の時代を自分が一度たりとも味わうことはできないことへの渇望感だけがある。
また、雪国に生まれ育ったので、小学校、中学校でスキーの授業があった。
大人になってからも何度かスキーに行った。
スキーの経験はあるから、『私をスキーに連れてって』や『スキー天国、サーフ天国』の世界観を追体験できそうに思う。けど、私にはできないのだ。
前述したような、この2つが昭和の作品でその時代を生きていないから、というだけではない。
いくら頑張っても自分が”都会人”にはなれないから、この作品たちを追体験できないのである。
どういうことか。
この2作品は、”都会の人がスキー・リゾートを娯楽として楽しむこと”を前提としている。
雪国ネイティブの地方の人間は都会人じゃないから、その土台にすら立てないのである。
都会人のキラキラには敵わない。
総合商社のサラリーマンやOLでもなければ、ユーミンのような都会育ちでもない。
北国は、連れて行かれなくてもスキー天国なのである。
というように、
育ってきた背景からもう、都会への羨望と嫉妬を書き連ねてしまったが、
私の中には昭和にも都会にも憧れがあり、その中に身を置いてみたくてずっと昭和ポップスやらシティ・ポップを聴き入っているのだ。
自分がその渦中にいることはできずに、少し遠いところから眺めることしかできないことも噛みしめながら。
自分の育ってきた環境や背景は変えられないけど、様々な時代の文化や価値観に触れて楽しむ気持ちは持ち続けていきたいと思うし、そう思っているうちは昭和ポップス倶楽部に身を置いているような気がする。
ところで、ヤリスにスキー板は載せられるのだろうか。
いまどきの短いカービングスキーならギリギリ車内に入るかもしれないけど、80年代にあったような細長いスキーはつかないかも……、ルーフにキャリアつけて運ぶかな?
キャリアをつけてるクルマも、めっぽう減ってしまった。
松任谷由実「スキー天国、サーフ天国」(1980年)