”くたばっちまえ!アーメン”はどういう意味?Sugarの世界

 ”くたばっちまえ!アーメン” 1981(昭和56)年11月21日にこのフレーズが代表的な『ウェディング・ベル』で、Sugarはデビューした。

 ボサノバのグルーヴに、ミキ(ボーカル、ピアノ、キーボード)、クミ(ボーカル、ギター)、モーリ(ボーカル、ベース)の3人のコーラスワークが際立つ、タイトル通りに結婚式がテーマのこの曲は、新郎新婦を祝福する内容なのかなと思ったら、強く愛していたであろう元カレに怒りをぶつけるような曲である。

 ボサノバのグルーヴ、3人のコーラスワークと毒素の強い歌詞のギャップがウケた『ウェディング・ベル』は1982(昭和57)年に大ヒット。レコード売上は約70万枚を超え、オリコン週間最高2位、年間13位に輝き、この年の第33回NHK紅白歌合戦にも出場した。

 『ウェディング・ベル』の衝撃が強すぎたため、後追い世代からはSugarは怖い女の子、女性の闇の部分が垣間見えるバンドとして、認識されていた。

 しかし、実際はどうなのであろうか?

 実際に、Sugarの様々な楽曲を聴いたり、歌詞をよく読んでみると、闇というより明の部分が際立つバンドで、コーラスワーク、ベースラインを中心としたグルーヴもレベルが高い。歌詞も女性の闇というより、「こういう女の子になりたい!」という願望、理想、妄想を歌った楽曲が多い。

 それは、シンデレラになりたい、当時としては普通の価値観を持った、等身大の女の子の世界。バニラアイスのようなシンプルさがそこには存在する。

 今回は、『ウェディング・ベル』以外の楽曲を通して、Sugarの魅力を綴っていきたい。

元々オメガドライブのメンバーだった!?

  まずは、Sugarが結成するまでの簡単な経歴を紹介する。

 クミとモーリが横浜市立寺尾中学校で出会い、モーリの通う神奈川県立鶴見高等学校で、メンバーをもう1人加えた3人組バンド「かりんとう」の活動を開始する。

 1977(昭和52)年の第14回ヤマハポピュラーソングコンテスト神奈川県大会に出場し、かりんとうが演じた曲が優秀作品賞を、ミキのロックバンドもラジオ関東賞をそれぞれ受賞するが、つま恋での本戦には出場できなかった。

 クミとモーリは、「杉山清貴&オメガドライブ」の前身バンドである「きゅうてぃぱんちょす」結成寺のメンバーでもあった。その後、メンバーが1人脱退したのを機にポプコン以来親交のあった、ミキを誘い合流してSugarを結成した。

 グループ名の由来は「自分達がしお(塩)らしくない」という意味からである。

願望・理想・妄想の楽曲群

新鮮微笑女

 新歓コンパ、合同ハイキング…現在でも耳にするフレーズもあれば、「何それ?」というフレーズも登場する、季節ごとの男女が出会い、交際に発展するきっかけとなるイベントで、気になる異性にアプローチをする女の子が描かれている楽曲である。

 気になる異性にあざとく、様々な形でアプローチをするのだが、「なかなか振り向いてくれない…どうして?」同じような展開で、春、夏、秋と季節は流れていく…

 冬になると「頑張るわ」と少し前向きな思考になっているのだが、そこでもアプローチに失敗し、撃沈。

 気になる異性に対して、四苦八苦する女の子の様が描かれているのが『新鮮微笑女』である。

新入社員ととらばーゆ(A.M9 to P.M5)

 学生生活を経て、社会人になって、「こういうふうに生きたい!」という願望があることには変わらない。そんな新社会人の姿を歌ったのが、この曲である。

 とらばーゆ、電話リンリン、使いパシりにタバコ買い…この曲も、現在では死語(!)になっているフレーズが登場する。女性が管理職になるのが珍しかった時代、新入女性社員の、こういうライフプラン、キャリアを歩んでいきたいという願望がありながらも、現実とのギャップが描かれている曲である。

 現実に疲れて、そこから逃避したかったのであろうか、”そうだ 永久就職しよ”というフレーズで曲は終わっている。

Sugar Dream

 社会人生活の後は、結婚生活ということで、理想の結婚相手について歌われている1曲である。

 男らしさと優しさで包んでくれるような男性、背が高くてハンサム…等当時の理想の男性像が描かれている。その中に歯医者の長男で、遊んで暮らすという、欲求が出てくるのも面白い。

 理想の男性像を赤裸々に歌うも、肝心の男ができないというオチがついているのが、いかにもSugarらしい世界である。

”くたばっちまえ!アーメン”は羨望の裏返し Sugarはバニラアイス

  ”くたばっちまえ!アーメン”というフレーズの裏側には、「自分がこうなりたかった」という、純粋な女性の気持ちが描かれている。花嫁の姿を見て羨望の眼差しを抱いていたが、そのことを素直に表現できず、悪態をついてしまった…

 実際は、バニラアイスのようにシンプルな女の子の世界観を歌うバンドだった。味は少しクセがあるかもしれないが…

 その後も、様々な世界観の楽曲と3人のコーラスワークを持ち味にシングル11枚、アルバム4枚をリリースし、1987(昭和62)年に解散している。

 ”くたばっちまえ!アーメン”というフレーズの裏側の純粋な気持ちを感じながら、Sugarの楽曲を聴いてみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

サザンオールスターズを胎教にして育ち、「速報!歌の大ジテン」を見て、昭和ポップス好きに目覚めました。

ボールを蹴ったり、観たり、たまーに演奏をしたりしています。

コメントを残す