一曲持ち寄れ!次に流行るシティポップ大予想大会!! 今夜も生で座談会 #3

昭和ポップス倶楽部の人気企画「今夜も生で座談会 !」略して「生ざだ」。これは月に一回程度、皆でひとつのテーマについてざっくばらんに意見を交わし合う座談会です。意見が分かれる?色んな意見が考えうる?賛否両論?なものをテーマとして設定し、昭和ポップス倶楽部のメンバーはどんな考えを持っているのか、忌憚なき意見を聞かせてもらうという内容になっております。

今回は3回目の開催。テーマは「次に流行るシティポップ大予想大会」です。サウンドから、年代から、曲の雰囲気から、色んな側面から次に流行るシティポップを大予想してみましょう!

これまでに流行ったシティポップをおさらい

プラスティック・ラブ/竹内まりや(1984)

まずは、シティポップブームの火付け役となったこちらの曲。1984年に発売された竹内まりやさんの6枚目のアルバム『VARIETY』に収録されていた一曲です。作詞・作曲は竹内まりやさん、編曲は山下達郎さん。そんなアルバムの中の一曲が2017年ころ突如として注目され、世界中で聴かれるようになりました。

真夜中のドア/松原みき(1979)

そしてシティポップブームのさらなる着火剤となったのが、松原みきさんの「真夜中のドア 〜Stay With Me」。2020年末ごろ、Spotifyグローバル バイラルチャート20日間連続1位、Apple Musicの J-POPランキングで合計92カ国でTOP10入りを果たすなど、40年以上前にリリースされた楽曲が世界的大ヒットを記録しました。

「プラスティック・ラブ」も「真夜中のドア」も、誰かが意図的に仕掛けたわけではなく、突如として自然発生的に大ブームになったというのが特徴です。まずは、大ヒットしたこの2曲の共通点や、世界で刺さったポイントについて考えてみました!

この2曲の共通点ってなんだろう?

改めてこの「プラスティック・ラブ」と「真夜中のドア」の共通点や、世界中に刺さったポイントって、どんなところだと思いますか?

やっぱりおしゃれですよね。おしゃれだなぁ、いいな〜。これが都会なのかなぁって思いますね。都会ならではの上品さがあるのかな。

「無国籍な雰囲気」が共通しているのかなと思いました。歌の舞台が東京だったり大阪なのか札幌なのかはわからないし、なんなら日本なのかどうかもわかりませんよね。特定の場所ではなく、普遍的な架空の都市を歌っているようなところがウケるのかなと思いました。

聞き心地の良いアレンジやリズムパターンが共通しているのかなと思いました。

あとは歌声に癖がないことももしかしたら関係あるのかもしれません。ユーミンとかは一応シティポップのアーティストだと思うのですが、その流れに乗り切れていない感じというか。それは、声にかなり特徴があるので、良くも悪くもシティポップに溶け込めないのかなと思います。竹内まりやさんや松原みきさんは、歌声に癖がないので海外でも受け止めやすいのかもしれません。

どちらもリズム感が外国人の好みなのかなぁって思いました。ギターだったり、ドラムだったりのリズム感ですね。とくに「プラスティック・ラブ」はずっと一定のテンポで淡々としている感じですけど、こういうのって外国の人が好む傾向にあるんですよ。逆に歌謡曲は向こうの好むリズム感と違うから、なかなか流行らないのかなって。

たしかに日本のポップスのほうはリズムというより、メロディーとかがはっきりしている感じですよね。

そうなんですよ。日本はメロディー重視なんですよね。もしかしたらこの2曲がバズったのは、リズム感は海外の人が好むような感じではあるけれども、メロディーの感じにどこか日本的な要素があって、特徴的に感じたのかもしれません。

クラブで踊れる(盛り上がる)かどうかと、おしゃれで複雑なコード進行を使っているかどうかも重要じゃないかな。「プラスティック・ラブ」は16ビートはすごく踊れる曲ですね。あと、ローファイにしたときにウケる曲っていうのもクラブでは大事だと思います。

ローファイとは、Low-Fidelityの略。これは低音質の録音状態のことを指しており、DJはこのローファイを取り入れて意図的に音の悪い音響機器やリズムや音色を取り入れたようなミックスをすることがあります。

最初に取り上げた「プラスティック・ラブ」と、こちらのNight Tempoさんバージョンの「プラスティック・ラブ」のイントロを聴き比べてみてください。Night Tempoさんバージョンのほうが、音がもこもこしていてうまく聞こえないような加工がされていますが、これがローファイなんだそうです。

それぞれの大予想を発表!!

Come Softly/岩崎宏美(1984)

さっきも言ったとおり、この曲もリズム感が一定なんですよね。外国人が好むとしたらこの曲かな〜と思って選びました。

岩崎宏美さんの歌い方は昭和っぽい感じで、作曲・編曲は外国の人がやっているので歌謡曲と洋楽がうまく融合されており、外国人にウケるんじゃないかな〜って思いました。

岩崎宏美さんの14枚目のアルバム「I WON’T BREAK YOUR HEART」の中の一曲。このアルバムはデイヴィッド・フォスターやEarth, Wind & Fire、TOTOのメンバーなどの世界的ミュージシャン達を起用して作られた挑戦的な一枚。この曲の作詞・作曲はErich Bulling-Al Mckay-Tony Haynes、日本語詞は山川啓介さん。

岩崎宏美さんは、すでにシティポップの文脈でバズっている楽曲があります。それがこちら。

Street Dancer/岩崎宏美(1980)

岩崎宏美さんの9枚目のアルバム「WISH」より。作詞は橋本淳さん、作編曲は筒美京平さん。

やはり洗練されてますね

他のアルバムは500円くらいで買えるのに、この曲が入っている「WISH」だけ3000円くらいするし、なかなかないんですよ。海外に流れてしまってるんだと思います(笑)

海外で注目されているというその証拠に、上記の動画のコメント欄は英語でびっしり。たまにハングルもありますね。日本語のコメントを探すほうが難しいという、すごい現象が起きています。

すでに流行ってる前例がある岩崎宏美さんからの選曲ということ、作曲が海外の方ということもあって世界で聴かれる可能性大!?な「Come Softly」、要チェックです。

六本木ララバイ/いしだあゆみ(1977)

六本木の高級バーで飲んでいるような印象を持ち、選曲してみました。

いしだあゆみさんと細野晴臣さん、鈴木茂さん、佐藤博さん、林立夫さんらティン・パン・アレイ・ファミリーを中心とする敏腕メンバーにによる企画盤「アワー・コネクション」の一曲。作詞:橋本淳 作曲:萩田光雄さん。

六本木〜っていう感じですよね。渋谷・原宿だとまた違うサウンドになりそう。

それはたしかに!

さにー

70年代のシティポップと、80年代のシティポップでもまた印象が変わりますね。

そうそう、70年代は日本酒って感じで、80年代はカクテルって感じがする。

80年代の方がより洋要素が強いですよね。

「アワー・コネクション」の楽曲はどれも非常にハイレベルでかっこいい曲ばかり。この中のどの楽曲がバズってもおかしくないくらいの名盤です!

プライベート・フライデー/芦部真梨子(1984)

ソフトな歌声が魅力的で、シティポップに合う声じゃないかなと思って選曲しました。84年にしては生演奏メインなのもポイントかも。

1984年にはTVアニメ「ガラスの仮面」の主題歌「ガラスの仮面」をリリースしたことでも知られる芦部真梨子さん。アルバム「街角は危険がいっぱい」からの一曲。作詞:大津あきらさん、 作曲:林哲司さん。

めっちゃ良かった!クラブで流したらぶち上がりそうです。

さにー

もうすでに流行っててもおかしくない感じのサウンドですね。

動画の再生回数が400回未満というところ(座談会開催時点)にも、隠れ名曲感がビシビシと漂う一曲。「プラスティック・ラブ」「Come Softly」に続いて本日3曲めの1984年楽曲です!シティポップと1984年、なにか関係あるのでしょうか!?

横浜 Lady Blues/原由子(1983)

最近大活躍で、今月アルバムも出る原由子さん。最近のシティポップブームの中で、なぜこの曲がクローズアップされないのかなぁ〜〜〜っとおもって選びました。何かのきっかけで注目されたら、バズって良い楽曲だと思うんですよね。

原由子さん5枚目のシングル。作詞・作曲:は桑田佳祐さん、編曲:桑田佳祐 & Head Arrangers。

高音を強調したギターもシティポップあるある

クドすぎないサックスソロも重要かも

さにー

原由子さんはたしかに、シティポップの文脈ではかなり盲点でしたね。

サザンの印象が強いからでしょうか?

そうかも……

ここまで出てきたものは、すでに流行っている2曲も含めて、全て女性歌手の楽曲。男性のシティポップ系歌手だと山下達郎さんや角松敏生さんなどのように人気の方ももちろんいらっしゃいますが、女性の方がピックアップされる機会が多い気がします。

レイニー・ステイション/鈴木茂(1978年)

これは普通に流行ってほしい!(笑)と思い選曲しました。

作詞 : 松本隆さん、作曲・編曲 : 鈴木茂さん。アルバム「CAUTION!」に収録され、シングルカットされています。のちに角松敏生さんもカバーしています。

心地よい曲ですね。

「雨」ってシティポップの中では重要な要素だと思うんですよね。シティポップって基本的に悲しいとか、寂しいような世界観なんですよね。「プラスティック・ラブ」「真夜中のドア」もちょっと失恋っぽい感じだし。この曲は、雨と悲しい気持ちっていうのをロケーションとセットで表現しているんじゃないかなと思います。シティポップはサウンド面が重視されがちですが、歌詞も無視できない要素だと思っています。

シティポップってサウンドが重視されるものだと思っていたので、たしかに歌詞にはあまり注目していませんでした。

言語としてはわからなかったとしても、歌詞は歌手の表現力に直接影響も与えている大きな要素。歌詞に注目してシティポップを語ってみるのも面白いかもしれません。

ICHIZU/やしきたかじん(1987)

この曲は、流行るとかではないと思うんですけど、こんな曲が流行るとしたら面白いなと思って選んでみました。

作詞・作曲・編曲:鹿紋太郎さん。「やっぱ好きやねん」の次のシングル。もともとは「やっぱ好きやねん」のようなイメージの関西弁の歌詞があったそうですが、やしきたかじんさんが「今回は関西のイメージではないもので行きたい」と言ったことから、書き直されたのがこちらの歌詞だそう。

「踊れる」とかとは真逆のところにある曲なので、今まで流行ってきたものとは全く違うタイプかもしれないんですけど、そういうものが流行る世界が合っても良いんじゃないかなと思って選びました。

やしきたかじんさんって、意外と繊細な曲を歌っているんですよね。

男性シティポップも来ますよ、これ!

最後はエモーショナルな1曲。シティポップとひとことに言っても、いろんな解釈がありますね。曲の最後に入れられたしかけも面白いので、ぜひ聴いてみてください。


以上、倶楽部メンバーが選んだ「次に流行るシティポップ大予想」でした!選んだ楽曲の曲調や選曲理由もみんな少しずつ違いがあり、シティポップをどう捉えているかにも個性が表れているところが面白かったです。この中から未来の大バズリ楽曲が生まれる……かも……!?!?参加できなかった方も、ぜひ予想を聞かせてくださいね!

皆さんが選んでくれた楽曲

  • Come Softly/岩崎宏美(1984)
  • 六本木ララバイ/いしだあゆみ(1977)
  • プライベート・フライデー/芦部真梨子(1984)
  • 横浜 Lady Blues/原由子(1983)
  • レイニー・ステイション/鈴木茂(1978年)
  • ICHIZU/やしきたかじん(1987)
平成生まれによる昭和ポップス倶楽部のコラムニストとして執筆中!
最近YouTubeデビューしました。

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