【エッセイ’93】05_大切なあなた

オットのほうの祖母が、結婚式のときの写真を現像してほしい、とのことで、
久しぶりに写真データを見返した。

そうそう。「大切なあなた」でお色直し再入時したのよね。

93年のレコ大で、聖子ちゃんが神田正輝と腕を組んで出てきて歌っていたのが印象的だったから、それに憧れてのこと。
当時聖子ちゃんはソバージュだったと思うが、私は聖子ちゃんカット風にしてもらったのだ。

私が大好きなのは、聖子ちゃんが軌道に乗り始めた初期のころだ。
「裸足の季節」から「夏の扉」までの三浦徳子の歌詞が当時の聖子ちゃんと等身大のようで、いつ聴いても新鮮さを感じる。
それに、なんといっても聖子ちゃんカット。80年代アイドルの憧れ。

結婚式に向けての髪型のリハーサル時に、ヘアメイクさんに式での髪型をセットしてもらい、
さすが、プロだな~と感心していたところで、
「お色直しのときの希望の髪型はありますか?」と尋ねられて出すか出さないかで迷って、
「あの、聖子ちゃんカット風にしてもらえませんか……」
ヘアメイクさんは顔色を変えず、熱心に髪を巻いてくれた。
こんなリクエスト、経験ないよなァ、すまんな……という気持ちで私もじっと待っていた。

披露宴のあと、聖子ちゃんをリアルタイムで知っている先輩方からは、
「聖子ちゃんカット、よかったけど甘いよね」
「もっと強くパーマかけないと~」
と言われたけれど、
自分のオーダーしたヘアスタイルを全面肯定するとしたら、
聖子ちゃんカットに近づけながら、衣装や現代にマッチするようにアレンジしてくれたのだ!と思う。
若い担当さんで、80年代当時を知るわけがないので(私もだが)、
参考となる画像を見ながら黙々と作業をして、かなり雰囲気を近づけてくれた。
私はそれだけで満足だし、
どうあがいても私は聖子ちゃんにはなれないわけだし、
担当さんは、そうそうないであろう無茶なオーダーに尽くしてくれたのだ。
ヘアメイクに限らないが、一生に一度の機会、
やりたいことをやって本当によかった。

聖子ちゃんにはなれないし、オットもまったく神田正輝ではないけど、
自分たち”らしさ”はあったと言い切れよう。

松田聖子「大切なあなた」(1993年)

昭和ポップス倶楽部メンバー。好きなのはガンダムとチョコあ~んぱん。

コメントを残す