みんなでも、自分のペースでも楽しめる素敵空間。歌声喫茶「ともしび」に行ってみた!

1950年代から1960年代にかけて、多くの当時の若者たちが歌声喫茶という場所に集い、音楽や歌に夢中になりました。今回は、その歌声喫茶の発祥である「歌声喫茶ともしび」に行ってきました!いったいどんなことができる場所なのか、どのような雰囲気の場所なのか?詳しくレポートしていきます。

歌声喫茶ってどんなところ?

そもそも歌声喫茶とは、昭和歌謡にはじまり童謡唱歌からロシアの歌まで、様々なジャンルの歌を生の伴奏をバックにみんなで一緒に歌うことが出来る場所のこと。喫茶という名前のとおり、コーヒーや紅茶はもちろん、軽食も置いているところが多いよう。今回伺った「ともしび」は、その歌声喫茶の発祥といえる存在なのです。

歌声喫茶はいつ生まれた?

ともしびの始まりは1954年。西武新宿駅前の小さな食堂で、たまたま流れていたロシア民謡のレコードに合わせてお客さんたちが歌ったことからはじまりました。その光景を見た当時のオーナーは「これだ」とひらめき、その年のうちにアコーディオン奏者と司会者を迎え入れ、歌詞を書いて壁に貼ったそうです。するとこの形式は瞬く間に全国に広まっていき、マスコミから「国民的ブーム」ともいわれるほどの人気を見せることとなりました。これが70年近く続く歌声喫茶文化の誕生の瞬間です。

コロナで新宿店が閉店・・・

しかしその後ブームは去り、1960年代半ばを過ぎた頃には閉店する店が相次ぎました。そんな中、新宿に店を構える歌声喫茶ともしびは波瀾曲折ありながらも、多くのファンに愛されて繁盛し、2019年には65年の歴史を数えることとなりました。

そんな折に起こったのが、新型コロナウイルスの感染拡大。歌声喫茶の本分である「みんなで集まって」「飲食をしつつ」「歌を歌う」という行為は完全にはばかられるようになってしまいました。そしてついに、2020年9月にともしびは閉店に追い込まれてしまいます。

この状況を救ったのは、常連客を始めとする歌声喫茶の多くのファン。募金を呼びかけたところ、のべ3000人から総額6000万円もの寄付が集まったのです。その間スタッフたちはお店の再開に向けて、歌集のリニューアル、新曲の練習、オンラインでも楽しめるYouTubeの発足、ライブ配信、歌声喫茶スタッフの育成、そして物件さがしに奔走しました。

そして……2022年11月。高田馬場にて2年ぶりに「ともしび」は復活しました。長年店を構えていた新宿から離れることは苦渋の決断でもあったそうですが、その再開にあたってはメディアからも多くの注目を集め、長年のファンたちを喜ばせました。

ともしびに行ってみた!

ということで3月某日、そのリニューアルした「ともしび」に昭和ポップス倶楽部の運営3名で行ってきました!場所は高田馬場駅から徒歩2分という超好立地。ビルの1階に入っているのですぐに発見できました♪

1階にあるので通りからも存在がわかります

歌声喫茶ってどんなシステムなの?

私が入店したのはちょうど20時ごろ。夜は5回ステージが開催され、第4ステージは20時から40分間。休憩をはさみ、第5ステージは21時から40分間。この2回のステージが楽しめるように合わせて伺いました。

「歌声喫茶」で実際に一緒に歌ってみた!

すでに歌声響く店内へ足を踏み入れると、十数人ほどのお客さんが席につき、リードしてうたってくれるスタッフさんとピアノ演奏を前に「フルーツサラダの歌」という曲を歌っていました。

必ず歌わなきゃいけないの……?

とはいっても、周りを見渡してみると全員が全員声を揃えて歌っているというわけではなく、ノリノリで歌っている人もいればそれを聴きながらビールを飲んでいる人もいて、歌っていると思ったらふと連れ合いと談笑し始める人も。もしかして40分間必ず歌い続ける感じなのかな……?と思っていたので、自由に楽しめそうな雰囲気にホッとしました!

まずは飲み物を注文しないとね

まずは飲み物を注文。ラインナップも豊富です!お酒もありますよ。

私が注文したのは店名を冠した「ともしび」というお酒。りんごジュースを紅茶で割ったウォッカベースのカクテルだとか。これがもう、飲みやすくて飲みやすくてとても美味でした!

ジュースみたいで何杯でも飲めちゃう

お酒を嗜みながら歌ったり、みんなの歌を聞いたりしていると「コーヒー・ルンバ」「飾りじゃないのよ涙は」「学園天国」など、昭和ポップス好きにも聴き馴染みがあるナンバーが流れてきました。「歌声喫茶って合唱みたいな曲が多いのかな?」と思っていた私の偏見をブチ壊すかのように鳴り響く、「Are you Ready?」「イェーイ!!」というコール&レスポンス。なんだ、この楽しい空間は?「ヘーイヘイヘイヘーイヘーイ」という人がいれば、声を合わせて「ヘーイヘイヘイヘーイヘーイ」と応える人がいる楽しさよ。「学園天国」は確かにカラオケでも盛り上がる曲なのだけれど、カラオケではありえない生の声の厚みが全身で感じられます。学生時代にやらされていた合唱の楽しいバージョンとでもいうのでしょうか。しかもその仲間は、20分前に初めて会った人ですよ。なんだか不思議な高揚感です。

もちろん生演奏!スタッフさん達多才です

こうして第4ステージが終了。ひとつのステージにつき7〜8曲くらいを歌いました。「40分歌い続けるのかな?」と思っていた時はもしかしたら長いかも……と感じましたが、びっくりするくらいあっという間でした。よくよく考えれば、カラオケで40分って一瞬で過ぎますよね。それが大人数でなら尚更です。

軽食も注文!

せっかくなので、ステージ間の休憩中に軽食を注文します。夕食がまだだったので、しっかりめのご飯も食べれるのは嬉しい!

チーズ包み揚げも唐揚げも、揚げたてでおいしいです。

お酒もすすむ!

そうこうしていると第5ステージがスタートです。

リクエストってどうやるの?

このステージの中で歌われる曲は、主にともしびオリジナルの歌集から選ばれています。オリジナル歌集は販売もされているので購入して使うこともできますし、2台の大型ディスプレイにも映されています。

2人が持っているのがオリジナルの歌集

この歌集、実は高田馬場での再出発にあたって一新されています。緑の歌集は元々あったもので、青の歌集は新たに90曲が追加されました。その中には「いつでも夢を」「また逢う日まで」のような往年の名曲をはじめ、「銀河鉄道999」や「ff(フォルテシモ)」などのロック(!)、さらには「パプリカ」「ひまわりの約束」などの新しい楽曲も掲載されています!ちなみにレパートリーは800曲以上だとか。

リクエストしてみた!

せっかくなので、歌集を元にリクエストをしてみました!

実は新しい歌集をつくるときの楽曲アンケートに私も参加しており、その際にペドロ&カプリシャス「五番街のマリーへ」と書いたことを覚えていました。この日歌集を見て初めてそれが採用されていたことを知り、大感激!歴史深い歌声喫茶のレパートリーに一介の回答者の意見を取り入れてくれるなんて、嬉しすぎる!

そしてリクエストカードをスタッフの方に手渡すと、実際に「五番街のマリーへ」を流してくれました!大人数で歌う「五番街のマリーへ」は、どこかいつもと違う感覚で、あらたな楽しみ方を教えてくれました。時間に限りがあるのでリクエストは必ず採用されるわけではないようですが、応えてくれたことに感謝です。

ちなみに2月のリクエストのベスト20はこちら。知らない曲もたくさんあって勉強になります!

最後のステージも終了し、大満足。

帰りに常連の方から話しかけられ……

さあ帰ろう、となったときに常連のおじさまから話しかけられました。そのおじさま曰く、ともしびに来るようになって、意識して歌詞を覚えて歌うようになったとのこと。すると、それまでずっと聞いてきたはずの歌において、いかに歌詞を理解して聞いてこなかったかということに気づいたのだそうです。そして、歌詞を覚えるようになって初めてその曲の意味がわかるようになったと言っていました。そしてそれに気づいたのはともしびのおかげだと。歌声喫茶は「みんなで歌うことの楽しさ」の他にも、音楽のいろんな楽しみ方に気づかせてくれる場所なのかもしれません。

まとめ

歌声喫茶の老舗・ともしびに行ってみて、素直な感想は「楽しかった!」につきます。「みんなで歌う」ということに、極度のビビリの私は(大変失礼ながら)ちょっとビクビクしていたのですが、強制されるようなこともなく自分のペースに合わせて参加できるところがすごく素敵だなと思いました。
それに、先述したとおり「みんなで声を合わせて歌う」のは考えてみると学生時代の合唱ぶり。みんなで何かひとつのことをするという経験って、大人になればなるほど少なくなっていきますよね。さらにこのコロナ禍やネット社会も手伝って、個の時代と言われるようになって久しい今日このごろ。みんなで一緒に、ヘタでもうまくても関係なく声をひとつに歌うという経験はここでしかできない貴重な経験なのかもしれません。ぜひ、また足を運びたいなと思いました。ともしびさん、楽しいお時間をありがとうございました!

うたごえ喫茶「ともしび」Information

以前、ともしびで働いている「ひろせめぐみさん」にインタビューした記事もあります。こちらもぜひ。

「歌声喫茶ともしびを盛り上げたい!」と集まった20〜30代のサークル「ぱれっと」には、昭和ポップス倶楽部の運営・りょうさんも参加しています。

参考資料

昭和ポップス倶楽部では、音楽を一緒に楽しむ仲間を募集しています!

平成生まれによる昭和ポップス倶楽部は、昭和ポップスの魅力を共有・共感し合うのコミュニティとして運営しています。

おもな活動内容

  • メンバー限定チャットで24時間いつでも交流!
  • 毎月(最低)1回、交流会を開催!
  • メンバー限定Webサイトで各種コンテンツを楽しめる
  • オフ会も多数開催!忘年会や新年会、BBQなども

そのほか、楽しみ方・活用の仕方はあなた次第!
一人でも多くの昭和ポップス・歌謡曲好きな方々とその輪を広げられるよう、随時新たなメンバーをお待ちしています。気になる方はぜひ一緒に楽しみましょう!!

※昭和60年(1985年)以降生まれの方が対象です

平成生まれによる昭和ポップス倶楽部のコラムニストとして執筆中!
最近YouTubeデビューしました。

1件のコメント

  1. ともしび行ってみたいな~けどちょっと緊張するな~でずっと行けてなかったのですごく参考になります。
    この記事を読んで緊張より楽しそうの気持ちが勝ったので今度行きます。

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